アサザの群落は救えるか  石沢 進



 1997年新潟県の特定植物群落の追跡調査を進めているが、豊栄市十二潟に分布するアサザの生育状況から、その生存が危ぶまれる。
 十二潟の水生植物群落は1987年7月27日の調査では湖面にヒシが繁茂しヒシ群落として報告したが、1997年9月7日の調査では、ヒシ・ヒメビシともに全く生育していない(調査時期が遅かったので枯死した可能性もある)。細長い潟は、上池(南側)、中池(中央)と下池(北側)に区分できるが、中池(中央)は水面が狭くなり周辺にマコモが繁茂し、わずかにコウホネ、まれにガガブタが生育しているだけでその他の水生植物はみられない。上池(南側)と下池(北側)には、水面がひろがりコウホネ、アサザ(写真1・2)がややまとまって群落を形成しているところがあり、ガガブタの群落も散生している。しかし、以前に比較してそれらの繁茂は衰退の様相を示しており、また以前生育していた沈水生植物のクロモ、エビモ、ミズヒキ類、タヌキモ、マツモの生育は確認できない。水が濁りそのような植物が生育できる状況ではないようである。抽水植物のフトイ、ハスなどの生育も見られない。
 アサザ、ガガブタが健在であることが分かった(写真2・4)ものの、生育状況はよい状態ではなく、このままでは、近い将来両種とも絶滅の心配がある。アサザは、鳥屋潟にも生育しているというが、県内では他に良好な生育地をみていない。
 十二潟における水生植物の激減の原因調査に加え、以前に比較して水質が悪化しているので、水質浄化の対策も必要に思う。
写真1 アサザの群落 写真2 アサザの群落(近接)
写真3 ガガブタの群落 写真4 ガガブタ


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